てんそばさんの頚椎椎間板ヘルニア闘病記 手術(前方固定術)
交通事故(追突) 頚椎椎間板ヘルニア
男性 手術(前方除圧固定術)

 ■ ヘルニア発症?(交通事故の日から)
平成18年12月2日、交通事故で追突される。ごく普通の追突事故であった。私は被害者側なのだが、追突してきた方が「てめえ急に止まりやがって!!」と。

信号が赤になったから止まっただけなのだが、相手の言い分は早朝だし交差点には人も車もいない、止まる必要がないとのことだった・・・。後に警察でも一方的に私が悪いと言っていた。

もちろんこんな言い訳は通らないが、裁判になると相手の保険屋さんはそれを強く主張する。もちろん認められなかったが。

ともかく相手ががなっているのはわかるが、自分はまともにノーブレーキで追突されてかなり首が痛かった。相手方は救急車も警察も呼ぶ気は毛頭ないようだったので、痛みに耐えながらも
自分で119番したのである。このころはまだ耳が普通に聞こえていたが、後に酷い難聴になる。しかし裁判では事故との因果関係を認めてもらえなかった。

事故が早朝であったので救急車で運ばれた病院には当直医しかおらず、簡単なレントゲンを2枚撮っただけであった。お昼にもう一度整形の先生に診てもらうため再度同じ病院に行った。しかし、追突事故にありがちな診察であった。すなわち、「頸椎捻挫全治1週間」。全治1週間!。ありえない・・・。今から思うと無理にでも頸椎のMRIを事故日に撮ってもらうべきであった。そうするのが後々ややこしくなくなる。


 ■ 通院生活〜手術前
その後普通に自宅近くの整形外科医に転院。そしてこれまたありがちな治療、すなわち電気を当てたりするもの。ただこの整形外科医はきちんとMRIを撮るようにしてくれた。その時のgazou1(2006.12.11撮影)である。


 ↑gazou1
頸椎の5番目と6番目の間の椎間板が押されて脊髄を圧迫しているのがわかる。これが非常に問題である。医師により実に様々な病名をつけてくれるので病名(診断書)により裁判時には非常にややこしいことになる。私についた病名の一部を紹介すると、
「頸椎捻挫」、「頸椎症」、「頸椎椎間板ヘルニア」、「脊髄損傷」、「中心性脊髄損傷」などなど…。

頸椎捻挫と脊髄損傷では怪我の程度が天地の差ほどあるのは明白である。さて事故後3か月もするともう首の痛さは尋常ではなく
普通に歩くのも困難、立っただけで吐いたこともあった。医師もできることなら保存療法で行きたいと言っていたが、さすがに厳しいだろうということで、取りあえず手術のできる病院に転院しミエロ等を撮って判断することになった。
ミエロは腕の良い医師ですと痛くないのですが、腕の悪い医師ですと相当痛いですね。さてよけないことはともかくミエロの結果は「要手術」であった。この判断をした医師が意外と良心的な医師で交通事故なのでちゃんと(加害者側の)保険屋さんを呼んで先に説明をしてくれた。これはかなり後に裁判で有利になった。

ミエロの画像が手元に残っていないので、MRIの画像で説明します。
gazou2(2007.3.23撮影)に手書き数字の1〜7が振ってありますが、当初酷かった C5とC6 のヘルニアの他、C3/C4, C4/C5, C6/C7 とヘルニアのオンパレードです。それでも相手方の保険屋さんは最後まで交通事故でヘルニアは生じない!とおっしゃってました^^。

まあ、このあたりはいつものことのようで整形外科医にもやはり交通事故と頸椎ヘルニアとの因果関係を認める医師と認めない医師の両方がいらっしゃるようです。
ただ地裁の判断としては概ね(あくまで概ねです)、事故との因果関係を一定程度認めるようです。もちろん100%は認めてくれませんのである程度減額されます。そこはいかに少しでも多く事故の寄与度を認める診断書を書いてくれる先生を探すかがカギになるようです。


私の場合、他の皆さんと同様、手術には相当抵抗がありました。セカンドオピニオンどころかあちこちの病院へ行っていろいろの医師の意見を伺いました。
手術方法にもいろいろあったのですが、最終的に一般的な「
前方(除圧)固定術」となりました。
金属等は入れたくなかったので
自骨移植でやってくれる先生に手術をお願いしました。


gazou2



 ■ 手術(前方固定術)
そしてついに事故後約5か月後の2007年月.25日手術が決行されました。

さてその実際の手術についてですが、gazou3(2007.4.25撮影)は手術中に撮ったレントゲンです。
の所に、七つの頸椎を縦に見て直角にワイヤーを C5/6 に差しているのが「当たり」です。
整形外科医はこの「当たり」を目安に椎間板を削るそうです。また、あってはならないのですが、椎間板を削りすぎて後縦靭帯を突き抜けさらに脊髄そのものを痛めてしまう最悪のケースがごくまれにあるそうです。なので、ある程度椎間板を削ったあとは多少残滓が残るのが普通らしいです。

こういう画像はなかなかwebでも見つからないだろうと思い掲載しました。入院中にこの画像はなんですかと聞いたところ、間違って違うヘルニアを削らないように手術場所の目安のためにやるのだということでした。
 
gazou4(2007.4.25撮影)

実際に
移植骨を C5とC6 の間に入れたものです。
中心にやや斜めになっている細めの縦長のものがわかりますでしょうか。これもまた医師に質問しました。
執刀医に聞くと嫌がられそうなので、私の場合いつも当直医と仲良くしてその仲のよい医師や研修医に質問していました。
わたしとしてはこの移植骨が斜めになっているのが気に入らないので、これは手術がうまくいっていないのではないか、と聞いたのです。某医師によると移植骨はメスで切った個所から「グリグリッ」とかなり強引に上下の頸椎にねじ込むとのこと。そうしないとはずれてしまうからなのだそうです。それでこういう風に斜めになるのはごく普通で手術としては非常にうまくいっているのだという説明でした。

またこの移植骨の形も医師によっていろいろの形に切り取るらしくそれは手術道具や好みによるらしいです。さらに頸椎の右方向や左方向から切る選択も医師の慣れている方でやるらしいです。



 ■ 術後1週間目(死の苦しみの入院生活)

手術後1週間目
に撮影されたのがgazou5(2007.5.2撮影)です。移植骨はX線を通しにくい(骨密度が低い)のでぼやけてますが、なんとなく上下の頸椎骨になじんできたようです。
手術そのものは麻酔をしているので何にもわかりませんが、実を申しますと多くの入院患者さんが悩まされるのが手術後なのだそうです。ことに頸椎手術の場合、前方法と後方法があるのはご承知の通りですが、前方法の場合、移植骨が安定するまで概ね1週間ベッドから起きれないのでベッド上で用を足したりしなければならないのが屈辱です。
美しい看護師さんの前で塵取りのようなものの上に「どばー」と出すのが嫌で食事を拒む人もいるらしいです。

さらにベッド上では首を動かさないように頭の左右に土嚢や病院によっては板を置かされます。寝返りはなかなか認められないので術後の最初の一週間はそれは大変なのです。
さらに追い打ちは痰がのどにつかえて呼吸困難になるのです。
人間立っている状態が体が正常に機能するようにできているので、寝たっきりですと痰がからんで窒息死する人も少なからずいるとのことです。

よく手術そのものは大成功なのですが痰が絡んで窒息死したりするという事情を知らない遺族の人たちは、病院や医師を糾弾するのですが多くの場合それは窒息死なのです。なので呼吸が苦しくなるとどんなにほかの患者が忙しくても看護師はすっ飛んできて吸引器で一生懸命痰を取ろうとしてくれますが患者サイドとしてはその行為自体が死の苦しみなのでいたしかえしなのです。こういうことは実際に入院生活を送った人でないと理解できないのだと思います。

私の場合、おトイレがさすがに屈辱だったので手術後3日目あたりから一泊3万くらいの一人部屋に移してもらいました。ベッド代が高くなった途端、それまで以上の破格の完全看護でした。しかし後の請求書が…。



 ■ 術後半年後の問題

なんだかんだ言って無事入院生活もおかげさまで乗り切り半年後の定期検査の画像がgazou6(2007.10.9)です。
毎月レントゲンは撮っていますが変化がわかりずらいでしょうから半年後のものを掲載しました。

さてここで新たな問題が発生しました。移植骨が上下の頸椎(C5とC6)にかなりなじんで一つの長ーい骨になりつつあります。しかしそれが原因で今度は C5/C6 の椎間板がなくなったために C4/C5 と C6/C7 の椎間板に負担がかかり新たなヘルニア発生です。ああ一体何のための手術だったのか…。

実際この頃は手術後の痛みの緩和された楽園のような状態から再び手術前の痛みが復活してしまいました。
主治医が変わって別のさらに腕もよく性格もよい医師になったのは良かったのですが、その腕の良い医師から「てんそばさん、今度は後方からやりましょう。私が完全に治しますよ」と。この先生のすごいところは患者に対しては手術を「悪化防止」とか言わず「治す!」と断言されることです。
実際実績のある先生でしかも人格者でわたしもこの先生なら、と思いました。

ただ頸椎を前から後ろから切るのは…。もっとも入院中いろいろの患者さんと親しくなりますからヘルニアを前からも後ろからも切った患者さんとも話したりしてそれはそれでまあいいか…、とも思ったのですが。ただ、入院は嫌だ!そう思った私はその後毎日図書館通いです。朝から晩まで地元の大きい図書館で頸椎関係、ヘルニア関係の本を読み漁りました。すると、割合としては多くはないのですが、ヘルニアが自然根治するという症例を載せている文献をいくつか見つけることができました。




 ■ 再手術ではなくリハビリで!
免許を持った医師ではなく、整体師とかなんかでヘルニアは切らずに治るという人は多々いらっしゃいますが、私が見た文献はれっきとした実績のある日本人の医師の文献でした。
半信半疑ながらリハビリを今まで以上にしっかりやろうと思いました。手術後1年目くらいでは正直を申しますと、手術前と同じかそれより酷い痛み、しびれ、めまい、さらに難聴があって執刀医や病院をうらんだりしてたのです。
それでも主治医がいう「手術が良かった悪かったかの評価は最低でも2年後です」との言葉に励まされてリハビリを続けました。

それでリハビリの先進国であるスウェーデンの文献等も英訳されたものをいろいろ探して読み漁りました。
やはりヘルニアはリハビリで治る!というのが結論。ただリハビリのやり方が問題でした。
正式なリハビリは日本では医師の処方(指示)がなければできません。しかし整形外科医はPTとか見下していますから医師には頼れません。それで自分でいろいろやり方を模索しました。

筋トレが有効だろうとの結論に自分なりに至りました。それでもリハビリとしての筋トレを専門にやる機関なぞまだ日本にはないようですので自分であちこちのジムをのぞいたりして研究するしかありません。
しかも私のような中高年と若い方たちがやる筋トレは全く別物です。最終的には自分で考えるしかない!



 ■ 今現在
リハビリとしての筋トレを初めてかれこれ2年以上になるのですけど、試行錯誤してようやく自分なりに体重コントロール、体脂肪率コントロール等々できる自信がつきました。私個人としては次の事柄がリハビリとしての筋トレで一番大事だと思います。1)運動の強度、2)休養、3)栄養、です。そしてこの中で私が最も重視しているのは『栄養』です。
飽食の時代に生きている私たちの周りには「おいしいもの」が満ち溢れています。しかしおいしいもののほとんどが砂糖であったり脂です。これは必要な栄養素ではありますけど、普通に外食や何も考えずに食材を買っていれば必ずメタボ体質を招くようなものばかりが店頭に並んでいます。それで私は今現在はとにもかくにも食べ物には気を遣っています。
きちんとしたトレーニング(リハビリ)をしても夕食でとんこつラーメン一杯食べればすべての努力が水の泡に帰します。なので食事はできる限り食材と調理方法を考えて自炊しています。

ごく最近のことですけど、手術後の定期検診で再手術を勧めていた医師その人から、
「あなたの頸椎は完全です、もう病院に来なくてよろしい」といわれました。


そういうわけで結論的なことになりますが、やはりヘルニアというのももしかするとある意味それは生活習慣病の一種なんじゃないかと思うようになりました。
正しい姿勢を保ち規則正しい生活栄養のバランスのとれた食事と適度な運動、これをつづけて果たしてヘルニアになるのでしょうか。わたしはならないと思います。

交通事故が引き金であったとしてもやはりその後の悪い姿勢のままの生活習慣が自分の場合ヘルニアを悪化させたのだと思います。
こういう考え方には抵抗感を感じる方もいらっしゃるでしょうけど、実際にヘルニアを発症し手術後悪化させ、その後リハビリ(運動)でヘルニアをやっつけたわたしの今の結論です。
どうぞみなさん、ヘルニアは治る病気(怪我)です。あきらめずに少しずつ前向きに取り組めば改善できるものだということを強調して私の闘病記録とさせていただきます。


 「みんなヘルニア仲間」の 掲示板に投稿していただいた、てんそばさんの闘病記です。
運動の必要性は全く同感です。規則正しい生活と栄養のバランス!素晴らしいです。 管理者:楽楽


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